平成20年 御劔神社 夏季大祭 友井保存会 中南之町 振り返り


今年は例年にない猛暑に襲われた夏だった。歩いているだけでくらくらするほどだった。その中で行われた御劔神社の夏祭り。準備の段階から振り返ってみる。



5月18日
女子部の練習が行われた。金物団地まで小太鼓を押していった。今年になって初めて中南Tシャツを着た。この頃から、本格的な準備が開始されていく。練習が終わった後、実行委員・若頭・太鼓責・輝君とで太鼓正さんに、バチを買いにいった。


6月1日
今年初めての肩合わせが行われた。例年の台棒での「サセ」ではなく、「鼻棒サセ」を練習した。初めての試みで、みんなの息が合わない。タイミングがずれ上手く上がらない。思ったよりも難しい。「こんなん本番で出来るん?」不安なまま肩合わせが終わった。その後、金物団地の公園でバーベキューをした。


6月15日
女子部の練習が行われた。中南之町女子部が四町合同の小太鼓を担いで練習するのは、これが最後になるだろう。来週の奉納式があるためか、毎年の事ながら本当によく練習をする。
6月21日
提灯付けを行った。スケジュールでは明日行う予定であったが、中南之町女子部小太鼓奉納式が行われるため、「出来ることはやっておこうや」という啓一さんの声で、少人数で行った。この日から、この町の神社に向かう道には、御神燈が灯り始める。静かに祭り気分が盛り上がってくる。


6月22日
中南之町女子部小太鼓奉納式


7月6日
花代集めの集計が、大倉邸2階で行われた。夏祭りに向けて、毎年多くのご家庭からご協力とご理解を頂いている。その方々の御芳名を掲示させていただく。南ノ筋の副町取邸の角に掲げられた。同時進行で、金綱やふとん絞め、大房や提灯などの陰干しを行った。神社横の空き地で、二回目の肩合わせをした。「鼻棒サセ」は、成功しなかった。なんとか上がったような感じはあったが、かなりふらついていた。どうしてもタイミングが合わず上がらない。本番での成功は雲行きが怪しい。青年団若年層(四町中学生)の担ぎの練習が行われた。


7月13日
御旅所の提灯と幟を設営した。大倉邸では花谷さんが小太鼓の舵用のロープを編んでいた。女子部の練習と太鼓の練習も最終日になった。祭りまで後一週間。御旅所に曳番町の幟が立った。


7月18日
この日は仕事を半日で終え、午後から大倉邸へ向かう。金綱や大房などの飾りを、神社裏の会議室へ運ぶ。午後7時、神社内で太鼓台の組み立てを開始する。屋根に上がり飾り付けをする。今年は野村さんと一緒にした。昨年も思ったことだが、下の賑やかな雰囲気に比べ、屋根の中は孤独だ。提灯の電球も大丈夫だった。10時過ぎになり、ようやく完成した。境内の真ん中に、中南之町大太鼓が据え置かれる。日付が変わる頃、御神輿の御霊移しが行われた。


7月19日
宵宮。御旅所へ中南之町の町衆が集まる。御神酒をいただき神社へ向かう。例年に比べ猛暑が襲う中、今年の祭りが開始された。午前中は、四町合同ふとん太鼓巡行が行われた。四台の大太鼓と二台の小太鼓が、この町を巡る。どの太鼓も、自町の道は順調に進むが、他町の難所は苦労していた。北之筋で弥刀東幼稚園の園児たちが、かわいらしい法被姿で迎えてくれた。休憩所ごとに飲み物をいただき、一時の涼をとる。午後は、中南之町の花代をいただいた家々の前を巡行した。子供たちがロープを引く。大人でも茹だるような暑さの中、子供たちは良く頑張った。日が落ち始めた頃、神社前四町合同の担ぎあいが行われた。少し涼しい風が吹いていたが、人々の熱気でそれも感じない。宮入が始まった。中南之町は音頭で入り、差し上げの前に従来のスタイルに戻す担ぎ方をした。今までやったことのない宮入である。昭悟の太鼓は落ち着いていた。綺麗に上がり、宵宮の宮入は終わった。


7月20日
本宮。午前中は中南之町大太鼓と女子部小太鼓が並んで巡行した。自町で二台の太鼓を所有しているのは四町の中で中南之町だけである。十数年前、友井の祭りの復興として友井保存会が発足した当時から考えると、かなりの発展である。午後からは、四町合同の御神輿渡御が北之町、西之町、新町、中南之町の順で行われた。御劔神社の氏子が住む家々の繁栄を願い御神が渡御される。まだ日が明るい夕方に、中南之町御旅所から久宝園のお茶の日緑にかけて、担ぎあいが行われた。大小6台のふとん太鼓の大房が揺れる。防犯の方々の御尽力があってこそ実現した。担ぎあいが終わり、場所は神社前に移る。神社前でも宵宮同様担ぎあいが行われた。昨日より疲れているはずなのに、昨日よりも元気である。あと数時間で一年かけて準備した祭りが終わる。そんな寂寥感を吹き飛ばすように担いだ。宮入が始まった。今年は「鼻棒サセ」をする。一回もまともに成功していない「鼻棒サセ」。誰もが不安だったに違いない。各町の宮入が進行していく。どの町も、昨日よりも担ぎが長い。それぞれが、それぞれの思いを込め担いでいた。今年のとりである中南之町宮入が始まった。願人の希望で、音頭無しの従来の太鼓で入っていく。差し上げの太鼓がなり、ふとん太鼓が空に近づく。これまで見たことのない高さで、太鼓が響く。「鼻棒サセ」は成功した。ふとん太鼓の宮入が終了し、御神輿の宮入が始まる。今年は、担ぎ手全員が白い専用の法被をまとい宮入した。四町が一町になる瞬間である。全ての宮入が終了し、曳番町の幟が中南之町から新町に引き渡された。汗と泪を感じた今年の祭りは終わった。

この町の道に、轍が残っている。アスファルトに浮かび上がる白っぽい2本の線。この轍が消える頃、この町は秋を迎える。その季節になるたびに、少し寂しい気持ちになる。

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